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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2025/04/17 

Vol.569 「国際成人力調査(PIAAC)」

執筆 院長 小林真哉

幾つかデータに関してコラムにしてきましたが、そのデータを利用する人が成熟しなくては宝の持ち腐れになることが分かりました。
その観点で、大人として成熟しているかどうかの尺度を調べていたら興味深い調査研究を見つけましたのでご紹介します。

表題の国際成人力調査(PIAAC:ピアック)は、OECD(経済協力開発機構)が中心となって実施する国際比較調査の一つです。
この調査は、参加する各国の成人(この調査では16~65歳)が持っている「成人力」について調査し、
その力と社会的・経済的成果との関係などを分析します。
平成23年(2011年)に第1回調査が実施され、令和4年度に第2回調査を実施されました。
ちなみにここでいう「成人力」とは知識をどの程度持っているかではなく、課題を見つけて考える力や、
知識・情報を活用して課題を解決する力など、実社会で生きていく上での総合的な力のことです。
日常生活での様々な場面で、文章や図などの形で提供された情報を理解し、課題の解決に活用する力を調べます。
調査には、31の国と地域の16歳から65歳までのおよそ16万人が参加し、日本からは5000人余りが、
「読解力」「数的思考力」、それに「状況の変化に応じた問題解決能力」の3つの分野の調査に解答しました。

調査内容は、文部科学省のHPに質問例が載っていましたので掲載します。
読解力(文章や図表を理解し、評価し、活用する力)
(例)ホテルにある電話のかけ方の説明を読んで、指定された相手に電話をかけるにはどのように操作したらよいかを考える
   図書館の蔵書検索システムを使って、指定された条件に合う本を選ぶ
数的思考力(数的な情報や内容を用いて論理的に考える力)
(例)商品の成分表示を見て、許容摂取量を答える
   作成中の伝票を見て、商品の売上金額を答える
状況の変化に応じた問題解決能力(条件や状況の変化によって生じる新たな問題を把握し、適切な解決に導く力)
(例)指定された条件を満たす商品を、価格や在庫の変化に応じて適切に選択
   複数の人のスケジュールを、当日の予定や会場の都合の変化に応じて適切に調整

なるほど、日常生活の中でも私たちは様々なデータにまみれているのです!
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