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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2025/05/22 

Vol.578 「国語に関する世論調査から」

執筆 院長 小林真哉

日頃から様々な文筆活動やインタビューを受けている身として、気を付けて勉強しているつもりではありますが意外に勘違いしている日本語の使い方・理解が多くあります。
以下のような問題は、皆さんお出来になりますでしょうか?

【問題】 (1~5)の言葉は、それぞれ(ア・イ)のどちらの意味ですか?
(1)悲喜こもごも
   (ア)「悲しむ人と喜ぶ人が様々にいること」
   (イ)「悲しみと喜びを次々に味わうこと」
(2)悪運が強い
   (ア)「悪い行いをしたのに報いを受けずにいる様子」
   (イ)「悪い状況 になっても、うまく助かる様子」
(3)煮え湯を飲まされる
   (ア)「信頼していた者から裏切られる」
   (イ)「敵からひどい目に遭わされる」
(4)うがった見方をする
   (ア)「物事の本質を捉えた見方をする」
   (イ)「疑って掛かるような見方をする」
(5)失笑する 
   (ア)「こらえ 切れず吹き出して笑う」
   (イ)「笑いも出ないくらいあきれる」

【解答・解説】
(1)(イ)「悲しみと喜びを次々に味わうこと」が本来の意味です。
(2)(ア)「悪い行いをしたのに報いを受けずにいる様子」が本来の意味です。
(3)(ア)「信頼していた者から裏切られる」が本来の意味です。
(4)(ア)「物事の本質を捉えた見方をする」が本来の意味です。
(5)(ア)「こらえ 切れず吹き出して笑う」が本来の意味です。

(1)から(5)全て、本来の意味とは異なる方を選択した人の割合が、本来の意味を選択した方の数を上回ったそうです。
(4)の使い方では『君はうがった見方をするね』と言われれば、それは誉め言葉です。
「うがつ」の意味は「穴を掘る」なので「物事を深く掘り下げ」「隠れた真相を見抜く」という意味でも用いられるからです。
そのため「うがった見方をする」というのは,「物事の本質を捉えようと鋭い視点で見る」という意味になる訳です。
(2)悪運が強いや(4)うがった見方をするなどは、私自身、誤解して使用していた時期があります。

 「国語に関する世論調査」は文化庁が日本人の国語に関する意識や理解の現状について、国語への関心・ローマ字表記・外来語の表記・読書の在り方・慣用句等の意味・言い方などを調べるものです。
読書の在り方に関する調査では、1か月に本を1冊も読まないと回答した人が62.6%であったそうです。
皆様、読書しましょう!山本周五郎氏の「赤ひげ診療譚」はお勧めですね!

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