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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2025/08/04 

Vol.598 「根競べ」

執筆 院長 小林真哉

毎年毎年、暑くなってきているこの時代では自然相手にはかないませんので、無為な根競べなどせずに文明の利器を使用して涼しく過ごしましょう。
私の外来でも根競べをしているわけでもないのでしょうが、相変わらず長袖で重ね着をされる齢80を超えるお兄様を散見しますのでご家族様ご留意ください。

『なんで、ボディーメイキングや体組成のあとのコラムが根競べなのだ』ですね。
ここは、若干苦しいのですがボディーメイキング・ダイエットなどは自らに対する根競べのような気がしてタイトルが降りてきました。

そもそも「こんくらべ」は、「根比べ」なのか「根競べ」なんでしょうか?
なんて引っかかる人は私ぐらいですか?それでは、いつものように比と競の漢字を分析ですね。
「比」は右向きの人が二人くっついて並んでいる様子の漢字でそろう・ならべるという意味です。
「競」という漢字は「立」の下に「兄」と書く字がふたつ並んでいます。
「兄」はかつて中国では神に仕え、一族の祭祀をとりしきる人を指していたようで、「立」の語源は「言」で、神への誓い祈り言葉の意味でした。
神へ捧げる祝詞を頭の上にいただき、二人並んで祈る様子が「競う」で、並んで競うようにしてさかんに祈ることから「きそう」の意味が派生したようですが、
共に共同作業をしているイメージで競うのとは少々違う穏やかな雰囲気がします。

次は「根」ですね。
根(こん)は、人に働きを生ませる能力・モチベーションのことで、
五根(いわゆる見て聴いて嗅いで味わって触れる五感のようなもの)に考える意識の六感を加えて六根というそうです。
仏教の世界でも「根(こん)」は、悟りにかかわる能力や精神的な素質を意味しているようです。

というわけで「忍耐力」・「気力」・「根気」を「比べあう、競う」行為を表現する言葉として「根比べ」・「根競べ」は生まれたので比でも競でもよろしいのです。

なんだかここまで読み進めてくださった方が根競べのようなコラムになってしまいましたが、次のテーマは先日行われた世界的な選挙“コンクラーベ”に関しての話題提供です。
ちなみに根競べとコンクラーベは関連性は一切ないようです。

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