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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2025/08/21 

Vol.602 「羊羹」

執筆 院長 小林真哉

先日、ある会合でテレビ番組などにて見たことのある、格付け選手権的なイベントに参加しました。
宴会の合間の余興的な要素もありましたが、ワインの格や、絵画の価格など主催者の趣向が凝らされていました。
私は和菓子部門でした。

『足助はコンビニの数より和菓子屋さんが多いので必ず当てます』と豪語して挑戦したお題目は廉価な羊羹と高級羊羹の味比べでした。
目隠しをしてから口に羊羹を運んでもらうシステムです。
要は、食介(看護師・介護士さんが患者さん・利用者さんの食事を介助するのと同じ風景が広がっていたのだと思います。
まずもって目隠しで食事をするので五感で味わうことが出来ませんし、分けられた小さく羊羹そのものはそんなに香りがしません。
正に、味覚と舌触りのみが頼りです。
何しろどのように自分がみえているのか、どのタイミングで口に食材が運ばれるかも判らず、その時点でなんだか負けの雰囲気でした。
それでも、大口をたたいた手前何とか集中して取り組む努力をしたわけです。
ざわめきと笑いに包まれる会場でひな壇に並ばされての挑戦です。

そもそも、今まで食べてきた羊羹は全て美味しかったので、値段で味分けるなんて難しいです。
ですから、結果は運まかせとなり、見事外しました。
それはそれで、会場が大いに盛り上がったので良かったわけですが・・・

しかし、「羹」を書ける人はあまりいないんじゃないでしょうか。
「羊羹」の「羹」は訓読みで「あつもの」と読み、とろみのある汁物を指します。
中国では「羊羹」という言葉は羊の肉やゼラチンを使ったスープ(料理)のことを示したそうで、
それが固まったものが派生してようかんの由来との説があります。

練り羊羹・蒸し羊羹・水羊羹とそれぞれの食感を楽しむことができる和菓子の代表的なジャンルです。
最も歴史が古いのが、寒天の無かった室町時代から作られている蒸しようかんで、
こしあんに砂糖、小麦粉やくず粉、片栗粉等を入れて蒸したものです。
練りようかんは、1589年に寒天の原料であるテングサで作り、豊臣秀吉に献上したのが始まりと言われています。
練りようかんの水分量が多いものが、水ようかんです。

足助の羊羹も美味しいですね。
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