以前コラムでの
言霊シリーズ(Vol.581~)では言葉を紡ぐことの面白さについて触れてきました。
今日は芸術・演劇に関わる言霊についてです。
先日、私自身や足助病院の特集を医系雑誌で特集してくれたライターさんが主宰する
teaforONEの〝一人芝居〟を観る機会がありました。
魅力的なタイトルで、
「ブカブカ?分不相応な豊かさに気づくまでの46億年か46年、あるいは約60分?」です。
せっかちな性分でじっくり観劇などする機会は少ない私ですが1時間余りの一人芝居に魅入られました。
一般的に講演などで1時間話すと、つなぎ言葉を除いて10000字以上すなわち400字詰め原稿用紙で25枚以上になります。
自らが紡いだ言葉達とはいえ聴衆の心に届け何らかの爪痕を残すのは大変ですが、
絶妙のパーカッションもいいアクセントになって素敵な一人芝居でした。
一人芝居とは1人の演者で全ての人物・場面を演じ分ける芝居の形態で、大正・昭和時代の汐見洋が先駆者で、
女優の杉村春子さん、渡辺美佐子さんらが有名で、イッセー尾形さんなどは見たことある方あるのではないでしょうか?
イッセー尾形さんはかつて
『誰もが分かる人を演じて結局何をやりたいのかというと、“入り口探し”なんだと思うんです。
僕の仕事は“想像入り口業者” 想像の入口を開けるといろんな世界が広がっている、芝居を通していろいろ想像してほしいんです。
今って、想像するきっかけがあまりにもなさすぎでしょ。
意識が自分に向いてる時代だと思うんですね。
暇さえあればスマホと対話するから、どうしても自分だけの世界になってくる。
でも、これって喜劇の正反対なんですよ。
喜劇ってのは外からやってきて、何をやってんだいっていうアクションがあるから笑えるんです。
自分だけの世界では笑えないんですよ』と応えていました。
私にはとても腑に落ちるコメントでした。
私は日頃から、〝コミュニケーションは相互干渉が必要です〟と言っていますが、
講演の場でも聴衆の心を波立たせてかつ想像させることをさらに意識しようと思いました。
想像することが残れば、その余韻はさざ波のようにその人の中で広がり、そして周りに寄り添い伝播するはずだからです。
一人芝居はひとりで演じてはいますが、ひとりではないのです。
何故なら人は皆、国民的シンガーソングライターの中島みゆきさん〝ひとり上手〟の歌詞のリフレインさのように、ひとりが好きなわけではないので
『ひとり上手と呼ばないで 心だけ連れていかないで
わたしを置いていかないで ひとりが好きなわけじゃないのよ』