災害医療訓練などで良く耳にする言葉〝トリアージ〟を皆様ご存じですか?
運営の3本柱に防災に強い病院を掲げているへき地医療拠点病院の足助病院でも災害訓練は、
対地震や対風水害などいろいろと状況を変え規模や対象、条件を変えて実施しています。
そもそも、トリアージ(Triage)とは、フランス語「trier」が語源で「選別する、分類する」という意味になります。
限りある医療資源を最大限に活用し効率的な医療活動を行うことで一人でも多くの傷病者を救命することを目的としています。
「災害発生現場などにおいて多数の傷病者が同時に発生した場合、
傷病者の緊急度や重症度に応じて適切な処置や搬送を行うために傷病者の治療優先順位を決定すること」
と定義されています。
トリアージでは最初に、傷病者の状態や病態で優先順位付けを行い4色で分類した「トリアージタッグ」を使用します。
トリアージタッグの色は、優先順位の高い順から赤、黄、緑、黒となっており、
最も優先順位の高い赤色は最優先治療群とし、直ちに処置が必要である分類です。
赤色の次に優先順位が高い黄色は、多少治療時間の遅れが生じても生命に危険がない傷病状態であるものが該当し、
基本的にバイタルが安定している場合に使用されています。
緑色は、専門医の治療をほとんど要さない場合に使用されます。
黒色は、既に死亡しているものや、明らかに即死の状態で心肺蘇生をしても生還の可能性がないものとされます。
企業におけるリスクマネジメントやBCP(事業継続計画)にもトリアージの基本的な概念が応用されています。
重要な事業の優先順位付けをして、災害時の限られた経営資源を効果的に配分して、
予期せぬ事態が発生した際の企業の災害対応力を高めるのです。
どちらの現場でも、アンダートリアージ(トリアージをする際に適切な基準よりも低い判断をすること)や
オーバートリアージ(トリアージをする際に適切な基準よりも高い判断をすること)をしないために折を見ての訓練が大切です。
トリアージの本質は〝選別〟ですので、人生における様々な状況での選択にも応用できる大切な考え方なのです。
時節柄、ぜんざい・しるこ・焼き芋・アップルパイ・ココア・ホットチョコレート・肉まん・あんまん・たい焼き・大判焼き…
こちらのトリアージもしっかりしないと春の健診シーズンには困った事態になりますのでご留意ください。