残念ながらいわゆる〝壁ドン〟(あのイケメン俳優がヒロインを壁に追い詰める状況)の経験はありませんが、
鉄道好きの私が最近知ったドンが今日のテーマです。
鉄道界を牛耳っている権力者(実在するのかも知りませんが…)のことではもちろんありません。
音の話で〝トンネルドン〟です。
〝トンネルドン〟とは、車両が高速でトンネルを通過するときに発生する音のことです。
高速で走行する車両がトンネルに入ると、空気がトンネル内部に急激に押し込まれ、空気の波が発生します。
これは「圧縮波」と呼ばれ、車両よりも先にトンネルの出口に到達し、
出口で急激に圧力が緩和され「ドン」という破裂音を発生させます。
日本の騒音基準は厳しく、25m離れた地点で家庭用掃除機と同程度のレベルの75デシベル以下が基準です。
ですから、新幹線や高速に動く乗り物は乗り心地・安全性のみならず騒音対策もとても大切なのです。
〝トンネルドン〟を小さくするための工夫が、車両の断面積が徐々に変化する構造の先頭車の形に込められているのです。
そのため先端の形「ノーズ」が長くなったわけですが、長くし過ぎると客席が減るのでこの辺りが難しいそうです。
さて開発に多大な影響を及ぼした動物を知っていますか?
実はカワセミだそうです。
高速で水中に飛び込むカワセミは空気中と水中で1000倍もの抵抗差に耐え、お魚を獲ります。
そのメカニズムがクチバシの鋭い形にあり、新幹線の開発者がそれにヒントを得て、試行錯誤を重ねたとされています。
新幹線の先頭形状は、カワセミのクチバシに極めて近似しており車体の断面も円形に近いようです。
結果、走行抵抗が30%減り〝トンネルドン〟が解決、消費電力も15%減ったそうです。。
同じような模倣は、電車の上についているパンタグラフと呼ばれる集電装置の騒音問題でも同様です。
静かに飛ぶフクロウの羽にヒントを得て、空気抵抗の減少させ騒音を30%カットしました。
フクロウの風切羽には他の鳥にはないセレーション※と呼ばれるギザギザがのでほかの鳥に比べて空気抵抗が少なく、
結果、音も小さく、静かに獲物に近づけるとされています。
身近な新幹線に、自然の動物からの知恵が応用されているわけなのです。
差し当たり、野鳥観察の趣味を広げてみましょうか?
※セレーション(Serration)とは、のこぎりの歯のような細かいギザギザした溝や刻み目のこと