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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2020/09/07 

Vol.135  「伝承」

執筆 院長 小林真哉

「院長先生、さきほどの地震、気づきました?」
或る日の老人保健施設での回診時の職員とのやり取りです。
その日の午前9時10分に福井県で最大震度5弱の地震があり、豊田市では震度2でした。
気象庁の震度階級は「震度0」「震度1」「震度2」「震度3」「震度4」「震度5弱」「震度5強」「震度6弱」「震度6強」「震度7」の10階級となっています。
因みに震度5弱は、大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じ、屋内は電灯などのつり下げ物は激しく揺れ、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがあり、座りの悪い置物の大半が倒れます。
固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがあります。
更に屋外ではまれに窓ガラスが割れて落ちることがあるようです。
震度2は屋内で静かにしている人の大半が、揺れを感じる。眠っている人の中には、目を覚ます人もいて、電灯などのつり下げ物が、わずかに揺れるようです。
で、先程の震度2ですが、院内の業務移動中の私自身は気付かずに過ごしておりました。施設での回診が午前10:00からでしたの話題に上ったわけです。
職員が言うには、入所中の100歳のお姉さまがこう言われていたのです。
「皆さん、地震が来たら、大きい建物から離れて、川には近づかないで」と
普段は、休んで寝ていることの多い方なので職員も少々驚いたようです。
更に職員が「どうしてそんなこと知っているの」と尋ねたら、ご自分が小さいときに母親がいつも言っていたとのことでした。
100歳の方の母親ですからかれこれ一世紀まえのお話でしょうか?おそらく、実感の伴った伝承だったのだと思います。
関東大震災が1923年(大正12)9月1日11時58分でしたのでおそらくここからの教訓だったのではないでしょうか。
足助病院は職員を挙げて地域防災に取り組んでいます。
今回は、9月1日の防災の日を過ごした週のタイムリーな出来事でしたのでコラムにしてみました。
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