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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2020/10/12 

Vol.144  「AI」

執筆 院長 小林真哉

『人々は自分の代わりに働いてくれる道具ではなく、自分と共に働いてくれる道具を求めている』オーストリア、ウィーン生まれの哲学者で社会評論家・文明批評家で現代産業社会批判でも知られているイヴァン・イリイチ(1926年9月4日 - 2002年12月2日)の言葉です。
確かになるほどと思う節があります。
とりわけ、我々の医療の世界でもAIの発達は目覚ましいものがあります。
高度化する医療技術・莫大な知識を有効に利用するには欠かせないものです。
例えば基本中の基本のカルテですが、今から数十年前、私が研修医のころは患者さん固有の紙のカルテが一つあるだけでした。
その一つに各科の医師、外来・病棟の看護師、各コメディカルが群がるわけです。
カルテ待ちなんて状況が日常茶飯事でした。
電子カルテ導入にて同時に他業種がアクセス出来、かつ遠隔からの操作も可能となり効率は雲泥の差となりました。
情報共有も密となり質の高い医療を届けられるようになりました。
少し回顧的ですが、かつての紙カルテの時代を知っているからこその想いもあります。
ここでイリイチの言葉に重ね合わせると、朝、病院で電子カルテを立ち上げる時にまさに自分と共に働いてくれる道具なのだと再認識するのです。
そして、最も大切なことは道具を人と言い換えることでしょうか。
すなわち、『人々は自分の代わりに働いてくれる人ではなく、自分と共に働いてくれる人を求めている』なんだと。
足助病院で想う医療を実現していくためには、道具は当然ことながら、いかにそれを使いこなす人が大切なのか。
そして個々が、代わりに働いてくれる人を育て求めるのではなく、共に働き高め合う人を求め育てるべきなのだと再認識するのです。
その積み重ねの先に、足助病院ブランディングプロジェクトの一つの頂がみえてくるのであろうと。
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