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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2020/10/29 

Vol.149  「百見は一経験にしかず」

執筆 院長 小林真哉

『百閒は一見にしかず』よく聞く言葉です。

しかしながら現在のようなIT社会になると見ることが出来る情報はホームページ、インスタグラム、フェイスブック、ユーチューブ等枚挙にいとまがありません。そうなのです、現在はその場にいなくてもある程度の臨場感をもって見ることができてしまうのです。そして、場合によってはそのままの理解で終わってしまうこともあります。勿論、我々はどこへでも行けるわけでもありませんので様々な場所でジャーナリストの方々が、見て聞いて触って嗅いで感じたことを伝えてくれることは貴重なことです。

我々の医療の世界でもIT技術の躍進がすばらしく効率化が進んでいます。しかしながら、問診(患者さんから症状等を聞き取ること)視診(患者さんをよく観察すること)聴診(聴診器を使い胸部・腹部の音を聞き取ること)打診(患者さんの体をノックして反応をみること)触診(実際に体を触れて腫瘍等を探ること)等の五感を働かせての診察が基本であることは変わりません。それに加えて経験値という第六感も大切です。幾ら医学書を読んでアトラスをみても患者さんを実際に診て得る情報に勝るものはありません。
まあ、医者の世界では当たり前のことですが30年近く医者をやっていると若干この思いに油断が出て参ります。

今回、気を引き締めなおしてこのコラムを書くきっかけになったのは、2018.7.7の西日本豪雨により被災された岡山県倉敷市真備町に災害ボランティアに単身行き、家の解体作業・清掃作業を手伝わせていただいた経験からです。私は気象予報士でもあり防災士でもありますので、西日本豪雨に関しては、様々な観点から関心をもち心痛めておりました。情報源としては、様々なデバイスがありましたのである程度、理解していたつもりでしたがやはり一度経験しておきたいとの衝動から一念発起して行ってきました。
そして今でも忘れません倉敷駅からバスに乗り真備町の災害ボランティアセンターに足を踏み入れた時の想い。(全国から数百人の方々が集まってきており、その方々を真備の方が迎えてくださっている光景) そして、バスの乗り換え、もはや穏やかな河川となっている小田川をこえて真備町に入った時の街の雰囲気。

ここで強く思ったのです、百見は一経験にしかずと。
そして、これからもフットワーク軽く様々な現場に足を運ぼうと・・・院内外に拘らず。
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