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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2020/12/10 

Vol.160  「今年のノーベル医学生理学賞 (2020年)」

執筆 院長 小林真哉

今、世の中を席巻しているウイルスは新型肺炎コロナ(Covid-19: コビッドナインティーン)ですが、今日のお話は、別のウイルスに関わるものです。

とは言え、難しい疾患解説のお話ではないので気楽に読み進めてください。
『人類の歴史はウイルスとの闘いである』との文言はときどき目にします。
新型肺炎コロナに対してはワクチン開発等が進められていますが、再感染のリスク等も報告されてきておりまだまだ先が見通せませんが、きっといい方向に進むと信じ、今できる新しい生活様式、医療サービス提供を心掛けています。

このコラムでは、肺炎ではなく人類が克服しつつある肝炎のウイルス:C型肝炎ウイルスに関わるお話です。
そうなのです、今年のノーベル医学生理学賞受賞の研究者のテーマは〝C型肝炎ウイルス〟でした。感染者は世界で約7,000万人、2016年には約40万人が死亡したと推定している。2013年時点の日本国内の感染者は推定約150万人とされています。

私自身、医師になりたての頃は、病棟の3分の1ぐらいの患者さんがC型肝炎の治療目的であったことを思い出します。それから、10年ほどはC型肝炎が引き起こす肝硬変にともなう様々な病態(食道静脈瘤・肝細胞癌・肝不全等)への治療が開発施行されてきました。そして近年は、画期的な内服の治療薬が開発されC型肝炎ウイルスを原因とする疾患は大幅に減少しつつあります。その礎を造られた方々が今回の受賞者です。私自身は、それら功績から導き出された様々な検査・治療手技を駆使して臨床を行ってきた身ですが、大学病院時代、基礎医学の教室にて研究をしていた頃を少し思い出しました。そこで、指導を仰いだ先生方は結果の見えない様々な事象に毅然として取り組んでいました。私自身が学んだものは、その姿勢だったと思います。

我々は、高齢化率40%を超えたこの地で、いずれ日本全体が迎える超高齢化社会に役立つ医療・福祉・介護の提供の在り方を探求し示すことが使命だと思い、精進していかねばとの想いを新たにするノーベル賞受賞のニュースでした。

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