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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2021/01/25 

Vol.171  「雷おこしと雪おこし」

執筆 院長 小林真哉

雷おこしといえば、浅草の仲見世で有名なあの米菓子ですね。
どこか懐かしく美味しいものです。命名は風神雷神の雷様に由来するらしいです。

で、今日は雷でお話を展開して参ります。太平洋側在住の我々にとって雷は、夏の風物詩の感があります。
夏の暑い中、雷による停電でクーラーが止まり不快な思いをしたことはありませんか?
実際、足助病院でも数年に一度、夏場に雷による一時停電に見舞われます。気象学的には、湿った空気が上昇し上空の低温層に達すると「あられ」や氷晶が多量に発生し、雷雲となり「あられ」と氷晶(小さい氷のつぶ)の衝突により発生する電荷の分離放電が雷と説明されます。

雷には、夏の上昇気流による夏季雷と、冬の寒冷前線による冬季雷があります。
冬季雷は珍しく、日本の日本海沿岸とノルウェー西岸でのみ発生する雷です。
冬季雷は放電時間が長く、エネルギーが非常に大きいのが特徴です。冬季雷の雷雲の雲底が、夏季雷の雲底と比較して非常に低く(300〜500mしかない)、そのため低い構造物にも雷が落ちます。数はどうでしょうか、全国各地の気象台の観測に基づく雷日数(雷を観測した日の合計)の平年値(1981~2010年までの30年平均値)によると、年間の雷日数が多いのは東北から北陸地方にかけての日本海沿岸で、もっとも多い金沢では42.4日です。ちなみに 名古屋は16.6日 東京12.2日 大阪16.2日でした。皆さん冬のほうが多いのですよ。

表題の雪起こし(ゆきおこし)ですが雪が降る前に鳴る雷のことをいいます。(雷おこしとは言いませんよ)
冬型の気圧配置が強まると、シベリアからの冷たく乾いた空気と日本海の暖かい水蒸気が混じり、山脈にぶつかり積乱雲を発達させ、激しい雪を降らせることが多いです。この時に鳴る雷を「雪起こし」と呼んで大雪の予兆とされてきました。

先週の日本海側の大雪の際には、雷に関する報道もよくされていました。
気象ニュースをお聞きになる際、少し気を付けてみてください。
きっと、雪と雷について触れていることと思います。

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