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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2021/07/12 

Vol.216  「ブルードX」

執筆 院長 小林真哉

コラムVol.26 梅雨と蝉、Vol.99 蝗害(こうがい)でも触れましたが、今回は大量発生する蝉さん達のお話です。

17年に一度、アメリカで大量発生する蝉のことを〝ブルードX〟(日本語では17年蝉)と呼びます。2021年はその発生年で予測される数は、6月末までに最大で数兆匹と予測されています。先日来、アメリカでは明らかに蝉を見かける機会が多くなっているようで、大量に集まると鳴き声も90デシベルの音量となり大変だそうです。交尾後にすぐ死んでしまうので掃除も大変ですが、商魂逞しい方々が蝉の様々な料理を開発して昆虫食がはやりつつあるそうです。

この蝉の別称は周期ゼミ(素数ゼミ)で、きっかり13年または17年だけ生きます。(勿論ほとんどの期間は地中にいるわけですが)また、13も17も素数(それ自身と1以外では割り切れない数)なので13年ゼミと17年ゼミの交雑する機会は221年に一度しかめぐりませんので異種交配のリスクは低いわけです。なぜこのような生態なのかは不明な点も多いようですが、何万匹というセミがいっせいに出現した特定の個体が捕食される危険性を小さくするためという説があります。こうして種を守っているのでしょう。
一般的に地面の温度が約18度に達する5月上旬から中旬ごろブルードXが出現し始めるようですが、近年の温暖化で周期に変化の兆しがみられるとか。こんな神秘的な生命の営みにまで、地球温暖化の影響が出てきているのかと勉強になりました。
蝉の話題から素数の復習および地球温暖化に想いを寄せるコラムとなりました。

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