MENU
green

足助病院コラム

Asuke Hospital column

2021/09/06 

Vol.230  「生き仏様」

執筆 院長 小林真哉

と或る日の外来診察の終わり際に
「院長先生、生き仏様に会ったことあります?」
前回の外来受診時に、御主人の介護でお疲れだと聞いていたので、介護関連でなんとかお力になれないものかと、職員と共に相談に乗っておりました80歳を越えられたお姉さまからの心温まるお話をご紹介いたします。

「ところで〇〇さん、御主人の具合はどうですか?疲れていませんか?」
「院長先生、ありがとうございました。先日、主人は亡くなりましたがとても穏やかに逝きました。足助病院の方々に色々と助けていただきましたよ。
よろしくお伝えください」
「そうでしたか、存じ上げずに申し訳ありませんでした。お力を落とさずに長生きしてくださいね」
そして、〇〇さんはおもむろに話し始めました。
「そう言えば、院長先生、生き仏様を見たことはある?おじいさんが亡くなる4日前に、私のほうを向いて何とも言えない穏やかな表情で声にはなっていなかったけど 〝あ・り・が・と・う〟 と言いなさったのよ。その姿を見て、私はおじいさんが逝くことがわかったのじゃけど、真に仏様のようだったよ。
私にはわかるのよ、おじいさんが悟って仏様になっていくところだったのだわ」

お話自体も素敵な内容でしたが、それをお話されるお姉さまの表情がとても充実していて穏やかな心温まるものでした。年齢的にもきつい介護生活であったと思います。やりきった感、満載の素敵な笑顔を残して診察場を出ていかれました。「それじゃ、また、お願いしますよ」と

〝終の住処を提供する病院〟を理念・運営方針に掲げている足助病院です。
医療・介護・福祉サービスのシームレスなサービス提供と患者さん・利用者さんのみならずその方を支えている家族・介護者・地域の方へまで心配りのできた
〝想う医療〟について改めて考えさせられる出来事でした。
コラム一覧へ戻る