MENU
green

足助病院コラム

Asuke Hospital column

2021/11/08 

Vol.246  「電柱」

執筆 院長 小林真哉

当診療圏でも、倒木の影響で電柱が倒れたり電線が切れたりして長時間の停電が発生した事案があります。
2019年9月の千葉県を直撃した台風15号では、多数の送電線や電柱が被害を受け、首都圏を中心に最大で93万戸が停電しました。
防災の観点からも電線を地中に埋没させる案は以前よりありますが、コストも高くそんなに簡単なことでもありません。更に、今までも現在も保守点検等に尽力してくださっている方々も多くかかわってくださっている産業です。

国土交通省には、2025年度までに、全国でおよそ4000キロの区間の電柱を無くす新たな計画があるようです。災害対策や街の景観をよくするため、電線を地中に埋めて電柱を無くす「無電柱化」を進めるようです。市街地の緊急輸送道路や避難所にアクセスする道路や世界文化遺産周辺や有名な観光地の道路などを重点的に進め、5年間で、全国でおよそ4000キロの区間の電柱を無くすそうです。ただ、現状では日本には3552万本もの電柱があり、毎年およそ7万本の電柱が新設されている事実もあります。実際の第5期計画で1年間に440kmが無電柱化されたのですが、日本の道路総延長約120万kmで考えるとすべての無電柱化が完了するのに約2700年もかかる計算です。

世界に目を向けてみますと、ロンドンやパリは既に無電柱化率を100%、香港や台北、シンガポールでは90%~100%の高い水準を誇っており、それに比べると東京23区は8%、大阪市は6%と日本では電柱がよく見られるわけですね。

日頃から慣れ親しんでいる電柱ですが、少々、掘り下げてみますと知らなかった現状が見えてきました。少なくとも、このコラムを読んでいただいている方々の時代には、電柱は無くなることはありませんので、風水害、台風時の垂れ下がった電線等には感電のリスクが高いので、決して近づかないようにご留意ください。
コラム一覧へ戻る