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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2021/12/02 

Vol.253  「食す」

執筆 院長 小林真哉

食は医の源とも考えられとても大切なものです。
足助病院でも摂食嚥下から始まり様々な医療サービスを提供しています。
地域の皆様との運動で当院のリハビリ技師が中心となって行っている「パタカラ体操」などは発声しながら口を動かす、「口の体操」のことです。
「パ・タ・カ・ラ」の4文字を発声するため、「パタカラ体操」と呼ばれます。

病院内ではNST:栄養サポートチームによる患者さんの栄養状態を中心とした全身管理が日常的に行われています。口腔ケアといってお口のメインテナンスから始まり、咀嚼・飲み込み・消化・排便までを一連の経過で診ていきます。
そのような医療行為の中では医師の果たせる役割は少なく、看護師・管理栄養士・リハビリ技師・薬剤師をはじめとして多くの職域が関わり協力して治療・介護に関わります。正にチーム医療です。

加えてここ最近は、ACP:advanced care planning 人生会議という概念が広まっています。ACPは将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、 本人を主体に、そのご家族や近しい人、医療・ ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、本人による意思決定を支援するプロセスのことです。

足助病院のように高齢の患者さんを多く抱え、終の住処の提供を志している医療機関では〝食べられなくなる〟という状況にしばしば遭遇します。
もちろん、可能な範囲で原因検索を行い点滴等の治療行為を行います。しかしながら、いわゆる老衰に伴う経口摂取困難の状態は訪れます。こんな時にもACPの概念が取りざたされます。御本人の意思表示が困難な場面が多いので、ご家族とともに熟慮を重ね、御本人にとってより良き方法を選択します。
私自身、入院患者・在宅患者・施設入所者さん等に関わり悩む場面も多いです。

食という漢字は人+良とも分解できます。
すなわち、人を良くさせるために行う〝しょさ〟という意味もあります。
その食という手段が閉ざされたときに如何なる〝手当て〟が出来るかが問われているのです。
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