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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2022/02/10 

Vol.270  「エルニーニョ現象とは」

執筆 院長 小林真哉

コラムVol.268 :2022年始 大雪考で最後に触れた気象現象についてのコラムです。
太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高く、その状態が1年程度、数年おきに発生する現象と気象庁のHPで説明されています。
少々難しそうですが、簡単に言うと南米ペルー沖の海水温度が高いということです。

エルニーニョ(El Niño)は、スペイン語の男の子を意味します。かつて、クリスマス頃に現れる小規模な暖流のことをエルニーニョと呼んでいたことから幼子イエス・キリストを指しているという説があります。

南米沿岸ペルー沖の水温は、日本の気象に大きく影響を及ぼします。太平洋高気圧の日本への張り出しの強弱に関係します。
エルニーニョの時は高気圧の張り出しが弱く、冷夏・暖冬です。現在はラニーニャ現象で高気圧の張り出しが強く、それで昨年の夏は猛暑で今年は寒くて雪が多いのです。

また、エルニーニョは農作物の収穫に多大な影響を与えます。夏は北日本、東日本及び西日本で平均気温が低い傾向となり、降水量は北日本太平洋側と西日本日本海側で多く、日照時間は北日本西日本太平洋側では少ない傾向になります。
全体的に低温、長雨等の気象条件となり農作物が生育不良になります。

世界的にも影響は多大で、特にお米・小麦・トウモロコシの穀物の豊凶作に関係が深いです。お米はごはんで、小麦粉はパンで主食にしますので我々日本人にもなじみますがトウモロコシに関しては少々馴染みが薄いかもしれません。コーンスープ・様々なトッピング・焼きトウモロコシなどが頭に浮かびますが、どうして影響が大きいのかを考えるには地理の復習が必要です。
トウモロコシはアメリカ・中国・ブラジルで世界の70%近くが生産され、その最大の生産国のアメリカでは50%が家畜の飼料、20%近くがエタノールに使用されるのです。
そんな訳でお肉やら燃料価格に影響してくるのです。
エルニーニョ(気象現象)➾冷夏(異常気候)➾農産物の生育不良➾世界的な影響
というわけです。

今は受験シーズン真っ只中です。約40年前の自らを思い出し、理科(地学・気象)と地理(農作物)の復習をするコラムとなりました。

受験生の諸君! 一心一意 がんばってください!

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