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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2022/03/10 

Vol.278  「三人官女」

執筆 院長 小林真哉

中馬のおひなさんも今週いっぱいだというのに、まだ朝の気温は-3度と寒さが続いています。
とはいえ三寒四温で確実に春は近づいています、感染対策を励行してお過ごしください。その際の筆頭事項はマスクですね。

コロナ渦ではマスコットがマスクして啓発している情景がよく見られます。三越のライオンがマスクしているのはニュース等でもよく見ますし、お地蔵さんや仏像さんがマスクをしているのも道端で時々見かけます。今年はマスクをしている雛人形を見かけましたのでコラムのネタに取り上げてみました。

顔が命といわれるお人形で下半分が隠れているのもなんですが、日常的にマスク生活に慣れているとなんとも違和感なく受け入れられるものです。そんな折です、三人官女のお顔をよく見ているとなんか違和感を覚えました。一人だけ少しだけ顔が違うのです、どのひな壇も見ても違うのです。
『えーっ、院長先生、常識だよ!』と お姉さま方からはつっこまれそうですが・・・よく見てみると真ん中の官女さんだけには眉が違うのです。
眉毛が殿上眉(除去した眉よりも高い位置に長円形の丸を描くというもの)なのです。

で、深堀タイムです。
お人形ですから様々なバリエーションがあっていいのでしょうが、約1000年前の平安時代中期のひな祭りの起源の時代の既婚女性は眉をそり落として殿上眉を描き、お歯黒をしていたようです。お歯黒まで忠実に再現しているかはマスクでわかりませんでしたが、つまり真ん中の官女さんは既婚者なのです。そのような視点でお雛様を愛でているといろいろ勉強になります。
ちなみに、奈良時代から江戸時代は、歴史本の資料等でよく見かける引眉(ひきまゆ:眉毛を抜いたりそったりして、そのあとに眉墨で描いた眉)が流行ったようです。

現代社会でも眉毛は表情・感情を表現するのに大切なパーツですが、しばらくマスク着用の時代が続きます。ますます顔の上半分のお手入れが大切ですね。

お雛様とマスクからのコラムでした。

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