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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2022/04/18 

Vol.288  「辞書考」

執筆 院長 小林真哉

パソコン・スマホ全盛期になってから開くことの少なくなった物の一つに辞書があります。
最近の医学生・研修医・若手医師はスマートにipad片手に診療に励んでいます。電子カルテにも治療指針・ガイドライン・ドラック情報が一部掲載されていますので書籍を開く機会は減っています。医学の領域は日進月歩ですし、よりリアルな画像を見られるほうがいいので更新もまめなデジタルは大変役に立ちます。かつて我々内科医の世界では“朝倉内科学”が辞書のようなもので医学生時代はパラパラリと日々めくっていたような記憶があります。自宅本棚には、約35年前の朝倉内科学が鎮座していますが、そもそも厚さ10㎝を越える重い本でとても持ち運びができるものでもありません。
ちなみに今年の3月に改訂された第12版は2,572ページ、31,900円だそうです。
現在は、デジタル版が出ているようなのでモバイル可能です。
先日「三省堂国語辞典」改訂の記事を見つけ懐かしくコラムにしてみました。かつては、辞書はどれだけ使いこなしたかが勉強した勲章のようなところもありまして、新品に比べて厚く、調べやすい手触りになっているのが心地よかったような記憶もあります。国語の領域ではより詳しくは「広辞苑」、汎用は「三省堂国語辞典」のように使い分けていました。
さて改訂の内容です。約84,000語の収録数のうち約4%の約3,500語が新たに加えられ、「人流」や「ソーシャルディスタンス」「黙食」などコロナに関わる言語と、SNSで広まった新語「エモい」なども入りました。
【赤信号みんなで渡ればこわくない】というなんとなく耳慣れた言葉も掲載されているそうですが、皆さん由来をご存じですか?実は、1980年に、ビートたけしさんがかつてのコンビ・ツービートではやらせたギャグが元ネタだそうです。 
辞書はより的確な項目がいかに掲載されているかが生命線です。人も同じですね、その人の持っている引き出しの多さ・懐の深さが人格を形成し風度(コラムVol.60)を醸成するのです。
 
※エモい:心がゆさぶられる感じで、古語の「あはれなり」の意味に似ていると「三省堂国語辞典」では掲載。


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