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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2022/06/30 

Vol.308  「暑熱順化 2022」

執筆 院長 小林真哉

〝暑熱順化〟とは、2週間ほどをかけて暑さに体が慣れることを言いますが、急激な気温上昇はしばしば体がついていかずに体調不良の原因となります。
暑熱順化ができていると体温上昇時は発汗による気化熱や、心拍数の上昇や皮膚血管拡張で体表面から熱を逃がす熱放散で体温調節ができます。
調節不良だと蓄熱し熱中症が引き起こされます。
生活習慣・環境因子・文明の利器をフルに活用して、これからの2か月~2か月半を乗り切りましょう。

今年は!も? 「観測史上初めて」のフレーズがニュースでよく聞かれます。
例えば前号コラムの6月の最高気温もそうです。それ以外を幾つか挙げます。
まずは、〝梅雨明け宣言〟です。約2週間前に入りの宣言を聞いたばかりですが、九州北部は6月28日に明けました。平年よりも3週間も早い梅雨明けで、1951年の統計開始以来、最も早く、期間も最も短く17日間です。水不足・電力不足が心配です。加えて、気温の上昇で大気中に大量の水が貯えられます。昔の理科を思い出してみましょう。気温の上昇で大気の飽和水蒸気圧が上昇するので多くの水気が蓄えられる訳です。となると、天空には巨大な天の川(コラムVol.116)が出来、それがいつの日か降りてきます。順を追って降りてきてくれればいいのですが、昨今は線状降水帯(コラムVol.124)等を伴っての集中豪雨になることが多く、土砂災害が心配です。

もう一つは〝食中毒警報〟です。豊田市でも6月27日に発令されました。気温30℃以上が10時間以上継続することが予想されるときに出ますが、今まで6月に発令されることはなかった記憶です。少々、食中毒に触れておきます。
食中毒の細菌の多くは、室温(約20℃)で活発に増殖し始め、体温ぐらいの温度で増殖のスピードが最も速くなります。O157やO111など(牛や豚などの家畜の腸の中にいる病原大腸菌)の場合は、7~8℃ぐらいから増殖し始め、35~40℃で最も増殖が活発になります。今の気温は細菌にとって最高条件な訳です。

連日35℃を超える猛暑日が続いています。
皆さん心身共の体調管理に留意してお過ごしください。
古からの生活の知恵なんぞ活かして賢く楽しく乗り切りたいです。差し当たり、梅干しの制菌作用とクエン酸による殺菌作用のご利用はいかがでしょうか。最近は、御菓子類にも梅干し系は多く登場しています!

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