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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2022/07/11 

Vol.311  「あらためて台風 2022」

執筆 院長 小林真哉

日々天気は変わりますので気象ネタは尽きません。
今回は台風4号に関連して今後に備えての台風解説です。
かつて日本では野の草を吹き分ける風の意味で台風を野分き(のわき)と呼び、「源氏物語」の巻名にも使われていました。

そもそも大きな風の渦の低気圧には温帯低気圧と熱帯低気圧があり、北西太平洋で最大風速約17.2m/s以上に発達した熱帯低気圧を台風と呼びます。
他にサイクロン(インド洋など)やハリケーン(北米など)とも呼ばれます。

台風の元気の源は、水蒸気から雲が出来る時に出る熱で、水蒸気が多いほど発達しやすくなります。海の温度が高いほど大量の水蒸気が蒸発して空気中の水蒸気がふえるため、海の温度が高いほど発達しやすいです。そのため、上陸すると水蒸気の量が減り次第に元気が無くなりますが、温帯化といって性格を変えてまた元気になることもあるので要注意です。

台風は南の海上から西へ進み途中で北上して偏西風の影響で東に向かいます。夏から秋は日本まで広がる太平洋高気圧の縁辺を回り日本まで北上することが多くなります。台風の近くは当然、発達した積乱雲の影響で大雨を伴っていて暴風も吹き荒れます(いわゆる台風の目と言われるところだけは穏やかなのですが)。進行方向右側は、渦のスピードに進行スピードが加わるので風が強まりますので注意が必要です。

台風からかなり離れた場所でも、台風の東側ではあたたかく湿った南よりの風が吹き続け、前線や山の近くなどの上昇気流が発生する場所では雲が発生し続け大雨となるので一つの台風で日本の多くの地域で影響が出ます。
地形に大きく影響を受けるので同じような地域で災害が繰り返されます。
そして、大雨が降ると、山の斜面やがけなどが崩れる土砂災害や川の水があふれる洪水害などを引きおこしますので注意が必要です。

備えあれば憂いなしとは言いますが、現代では人知を尽くした備えを凌駕する自然災害が起こっているのが実情です。
気象庁は台風の位置や強さについて台風経路図を用いて予報しています。
現在は進路・強度ともに5日先までの予報がされていますので台風誕生の早い時期から利用して備えるようにしていきましょう。

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