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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2022/08/25 

Vol.321 「安い御粥?」

執筆 院長 小林真哉

ある日の診察場での出来事です。
齢90を超えてなお、お元気なお母さまを連れてともに私の診察を受けられる60超えの孝行息子のお話です。
10年を超える長い付き合いでお互いに冗談も言える関係性になっているので、診察しているのか談笑しているのかわからないぐらいの和気あいあいとした空間が広がっています。
お母さまの診察が滞りなく終わり息子さんの番です。

お母様 『院長先生、よろしくお願いします。わがままに育てましたので』
息子さん 『そんなことないですよ。良くできた息子ですよ』
お母様 『またそんなことを院長先生に言って、ありがとうございます』
私 『いいのですよ、頭の薄さは微妙だけど』
息子さん 『僕にはまだ伸びしろがあるけど、院長はね・・・』

そんな会話をしながらの診察の本番です。

私 『この採血結果をご覧ください。ここが全然改善されていませんね。以前から、生活習慣の改善等をお伝えしていますよね!』
息子さん 『日々、気を付けて精進していますよ!』
私 『本当ですか? 採血結果はうそをつかないのだけどな~』
息子さん 『へっ? 先生、まあ、“安い御粥”ってことでお願いします』
私 『ん? “安い御粥”?意味が良く分からんな?』
息子さん 『安い御粥⇒お湯だけ⇒おゆだけ⇒湯だけ⇒ゆだけ⇒ゆうだけ⇒言うだけと解釈し“言うだけで行動が伴わないことを指す”のですよ。院長もまだまだ知らないことがありますね。』

と、妙に納得した私を残して勝ち誇ったような顔で診察場を去っていきました。

「なるほどね・・・こりゃコラムネタだ! いやいや、ちょっと待ちなさい、私の助言を聞き流しているということじゃないか!」

個性豊かな素敵な患者さんに囲まれて、日々を過ごしております。

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