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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2022/12/12 

Vol.349 「小火(ぼや)」

執筆 院長 小林真哉

2022年も夏季の異常気象でオーストラリアやアメリカで世界的な大火が発生し様々な環境破壊が問題となっています。
日本の夏場の災害は風水害の印象が強いですがフェーン現象による空気の乾燥、強風の発生による火災は注意です。
とはいえ、火災に留意することが多い季節は冬です。
消防庁よると、令和3年の火災件数は、35,222件で、1日あたりおよそ98件の発生です。
12月から増えはじめ、2月が最多です。
一年のうち、もっとも空気が乾燥する12月~2月の相対湿度は50%前後にまで下がります(年間相対湿度の全国平均は70%)。
冬でも相対湿度が50%なら一見理想的な湿度が保たれているように思えますが、これは屋外の湿度で屋内は暖房器具の使用により湿度が下がるので注意が必要です。
ちなみに豊田市の12-2月の平均気温が3-5度、平均風速が1-2m/sで湿度は全国平均を上回っています。出火原因は、「たばこ」が3,042件(8.6%)、「たき火」が2,764 件(7.8%)、「こんろ」が2,678 件(7.6%)でした。
はやりのキャンプの焚火も注意が必要ですね。

どんな時でも大切なのは、初期消火です。
発火させないことが原則ですが、〝小火(ぼや)〟のうちに対処することが大切で、万が一起きてしまった時の備え・対処が大切です。医療の現場・組織マネージメントの各場面でも同じです。
ちなみに小火をぼやと読む由来は、「小火(もやともいう)は、もともとたきつけにするような細い木の枝に、すすきや笹のまじったものの呼び名で、これらが燃え上がる様を形容していわれるようになったという説もあります。
ちなみに火災警報が出る基礎である火災気象通報(気象の状況が火災の予防上危険と認められるときに行われる通報)は実効湿度、風速などにより基準を定められています。
参考までに。
第1基準: 実効湿度60%以下で最小湿度40%以下最大風速が7m/s超
第2基準: 平均風速 10m/s 以上の風が1時間以上連続して吹く
上記の気象庁指針に地域特性を加味することにより定められます。

このような気象・防災知識を持つ私なのですが、以前、
「病院中庭のパティオで夕刻から小さな焚火をすると幻想的で素敵じゃないか」
と妄想を口にしたら、近くの職員に「ダメです!!!」と瞬殺された次第です。
油断大敵!
ですわね!

※ フェーン現象:湿潤な空気が山を越えて反対側に吹き下りたときに風下側で吹く乾燥した高温の風(フェーン)が発生しに付近の気温が上昇すること

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