MENU
green

足助病院コラム

Asuke Hospital column

2019/08/22 

Vol.37  「KWAIDAN」

執筆 院長 小林真哉

「先生、綴りWが多くありません? クワイダン? ってなんですか」というご指摘があるかもしれません。
私自身、“KWAIDAN” を目にしたときそう思いました。
知っていましたか “KWAIDAN”は怪談のことです。
連日、猛暑・熱帯夜が続いていますが、この時期お化け屋敷等のお化け系のアトラクションが多々見受けられます。
日本には古来より、所謂ホラーではない怪談文化が存在します。

怪談とホラーの違いってなんでしょうか?
かつて稲川淳二さんがインタビューで素敵なことを言われていました

「怪談は、日本の土地柄、気候、文化といったものから生み出されるもの 小泉八雲、ラフカディオ・ハーンも 『怪談は感性だ』 と言っている。日本の家屋では"窓"ではなくて、"間戸"、間の戸がある。ふすまとか障子ですね。ふすま越し、障子越しで、隣の様子を伺うことができる。部屋に入ろうとする人も、何となく中の様子がわかるし、中にいる人も、障子に映った影や何かで外の様子がわかる。気配を感じることができるわけですよ。この気配を感じるというのが怪談にそのまま活きてくる。ホラーにないのはこの気配・感性ですよ」

と、なるほど深い。

皆さん、怪談といえば何が思いつきますか、それぞれの年代により違うでしょうが僕は「耳無し芳一」「ろくろ首」「のっぺらぼう」「雪女」が出てきます。
そう、小泉八雲(ラディオカ・ハーン)の怪談です。その怪談の表記が“KWAIDAN”です。
そして今、“KWAIDAN”を読みながらコラムを書いています。
耳なし芳一・おしどり・お貞の話・乳母桜・かけひき・鏡と鐘・食人鬼・むじな・ろくろ首・・・・・・どれも確かに気配・感性が感じられなんとなくノスタルジックな物語です。
しかも、短編集なので肩が凝らず読みやすい。皆さんも是非、書店・図書館でご覧になってみてはいかがでしょうか?
猛暑・熱帯夜対策で涼しくなるというよりは、心がほっこりする感じです。

今回、KWAIDANから掘り下げて学んだことは「日本には窓ではない間戸の文化・感性がある」です。
我々が‘足助病院ブランディングプロジェクト’で、目指すものの一つはこの感性なのだと思います。
一朝一夕でできるものではありませんが、我々には支えてくださる方々と70年の歴史があります。
これからも地道に精進を重ね、地域の方々・患者さん・職員間には素敵な『間戸』を築いていければと想ういい機会となりました。

コラム一覧へ戻る