災害時のトイレ事情は防災上も大変重要な懸案事項です。
避難所環境の衛生問題のみならず、個々人の健康状態に直結します。
足助病院では気防健究会(気象と防災と健康を究める研究会:もう既にお分かりのように代表が気象予報士・防災士・医師だからこのようにネーミングしました)でいろいろ勉強しています。
私自身は、消化器が専門でもある内科医ですが、少々おなかが幼いのでトイレまでの時間・距離感は外に居るときは極めて大切な案件となっています。
昨年末、私にとっては恐怖を覚えるニュースを目にしました。
【2022年12月18日午後1時ごろ、東海道新幹線の名古屋―豊橋間で停電が発生し、東京―新大阪間の上下線で一時運転を見合わせた。空調が止まり、水洗トイレも使えなくなり、午後3時半ごろ、簡易トイレが設置され、多い時で30人くらいの列ができた。午後4時すぎ、簡易トイレがなくなった旨の情報が流れると「早く言ってよ」という叫び声が上がった】
真冬の暖房なしの閉鎖空間で4時間です。心身ともに厳しいですね。
その時頭によぎったのがかつての病院管理棟の長時間停電です。
病院本棟は問題なかったのですが、事務管理の南棟が停電した時があり、一時的にトイレが使えなくなったのです。一般的な家庭の水洗トイレは電力に頼っていないため停電になったとしても、断水が起きなければ使えます。
病院のような施設はタンクに水をためる形ではないためすっきりした形になっているタンクレストイレを採用しています。水を貯めて流すのではなく直結した水道の水を流すのに「電磁弁」を利用して排水する以外には水が流れないようせき止める仕組みです。
そのため、停電になるとタンクレストイレの電磁弁は使えなくなります。このため緊急時に水を流す方法を、普段から理解しておく必要があります。当院のトイレは背面下に押しボタンがあり、それを押し込むと手動で流すことが出来ますので安心です。
完全に電化されたトイレでは、人感センサーでふたが空くタイプがあります。
この場合、緊急事態に対峙したトイレは単なる白い陶磁器のオブジェとなってしまうのです。
あ・・・恐ろしや・・・
皆様もよくご利用になるトイレは停電時の使用法をご確認ください!