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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2019/10/31 

Vol.54  「ベーシックインカム」

執筆 院長 小林真哉

ベーシックインカムってご存知ですか。
「政府がすべての人に必要最低限の生活を保障する収入を無条件に支給する制度」だそうです。
まるで夢のような話ですが、政府からタダで毎月もらえるお金のことだそうです。
生活保護や負の所得税(税を還元する仕組み)などの社会保障と違い、給付条件はなく誰でももらえるということらしいです。

目的は、無条件で支給することによって社会保障制度をシンプルにして、行政上のコストを削減する。
同時に、無条件という特徴は受給者に「政府からの施し」という劣等感を感じさせないという利点もある。
あくまで支給されるのは生活に必要な最低限度額のみで足りないと思う人が働いて稼ぐのは自由であり市場の原理も残るそうです。
実際に導入を試みている国もあるそうですが日本ではどうなのでしょうか。

まあ、経済的な話はさておき、我々の医療の世界で考えてみようかと思います。
日本の優れた医療保険制度・国民皆保険はまさにこれに近いのかなと思います。かつ、優れているのは必要最低限な医療ではないことですね。
できうる限りの最高の医療を提供するということです。病院施設を始め各種医療機器をとり揃え提供する。更にそこに各種の専門家が介在するのです。

しかしながら、日本の津々浦々の全ての病院に高次医療の施設を準備することは不可能です。
日本には8500近くの病院がありますが、約70%は当院のような200床より病床数が少ない病院です。
それぞれの病院が地域のニーズにあった運営をしています。当院は、介護医療院・包括ケア病棟を含めて190床の病院です。
地域の住民・利用者さんのニーズをくみ取り本当に必要とされる病院にならなければと気を引き締める今日この頃です。
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