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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2019/12/19 

Vol.67  「ノロウイルスの名前の由来」

執筆 院長 小林真哉

冬型の気圧配置、いわゆる西高東低の気圧配置(日本の西側に高気圧、東側に低気圧があるという状態)で急激に寒くなってきました。
冬独特の感染症の流行期です。手洗い・うがい・睡眠・滋養に留意して規則正しい生活が大切です。

今日のお題はノロウイルスです。
ご自身を含め、周りの方が罹患したのを一度は遭遇したことがあるのではないでしょうか?ノロウイルスの感染力は強く、広がる速度も決して遅く(ノロく)はありませんのでご注意ください。
そもそも「ウイルス」は、「毒液」または「粘液」を意味するラテン語 virus に由来して命名されたものです。
「ノロウイルス」の名前の由来ですが、アメリカのオハイオ州ノーウォークという町で集団発生した急性胃腸炎の原因ウイルスが由来です。
“ノーウォーク・ウイルス”と呼ばれていましたが、2002年、正式に「ノロウイルス」と命名されたそうです。地名に由来していたのですね。
日本にもありました。急性胃腸炎を起こす同じ仲間のウイルスとして1977年に札幌市で“サッポロ・ウイルス”とされていたものが、後に改めて「サポウイルス」と命名されています。
ノロウイルスによる急性胃腸炎ですが、11月頃から流行がはじまり12〜2月にピークを迎えます。
ノロウイルスは、乾燥や熱にも強いうえに自然環境下でも長期間生存が可能で感染力が非常に強く、少量のウイルス(10〜100個)でも感染・発症します。
非常に小さいウイルスなので、接触感染(人と人、トイレ、ドアノブ、手すり、ちり埃など)、食事を介した感染、飛沫感染などの感染経路で簡単に蔓延します。
ウイルス除去には、加熱・煮沸できるものであれば、85℃以上で1分以上加熱が有効ですがなかなかできるものではありません。
調理台やドアノブ、床などの設備には塩素系漂白剤(ハイターなど)が効果的とされています。
足助病院では、次亜塩素酸ナトリウムを使用しています、これによりノロウイルスを失活化することができます。
豆知識ですが、雑巾やペーパータオルにも工夫があります。茶色のペーパータオルや色つきの雑巾を使うと色の脱色に塩素が消費されてしまい塩素の消毒力が消費されてしまうのでノロウイルスにまで消毒が届かないという事態になりかねませんので、白い雑巾を使うといいようです。
ちょっとしたことでも知識が必要ですね。

生牡蠣や鮮魚などの美味しい季節です。
胃腸炎には十分留意して豊かな食生活を送りましょう。
(先日の猿投山コラムの御婦人グループのうどんすきが思い出されました。)
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