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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2020/01/23 

Vol.74  「ヌートリア目撃 考」

執筆 院長 小林真哉

医局の宴会での話題の一つに、野生の動物の目撃自慢?があります。
特に、足助病院が長い常勤医と若手医師が参加している会では、大いに盛り上がります。
僕自身は、足助病院16年の勤務中に、猪・鹿・猿・ハクビシンを目撃したことがあります。幸いなことに、昨年、当診療圏を騒がせた熊には遭遇しておりませんが。
そんな中、若手医師のI医師が足助こども園の前の足助新橋から親子のヌートリアを撮影しておりました。とてもきれいに明瞭に撮影されておりましたが、I先生本人は絶滅した「にほんかわうそ」を発見したスクープ映像だと気合が入っていたそうです。
ところが、可愛い?珍しい?では済まされないのが外来種です。

そこで、ヌートリアについて少々調べてみました。
移入経路ですが、1939 年頃、軍服の毛皮用、食用として導入されました。(えー食べてたの)
戦時中は西日本を中心に各地で飼育されましたが、終戦と同時に飼育個体は野外に捨てられ、現在は、西日本を中心に生息、西三河、尾張地方でも生息が確認されているようです。
泳ぐのが得意なことから、「沼ビーバー(swamp beaver)」 という英名がついています。
農業被害としては、水稲のほか、夏期には瓜 類、芋類、根菜類、葉菜類、豆類などが、冬期 には葉菜類、根菜類が認められているようです。
獣害の一因にもなっているのですね。

豊田市鳥獣被害防止計画にもヌートリアが害獣として認知されており、平成27年度の被害概略が水稲・スイカで113千円だと掲載されていました。
豊田市の鳥獣被害全体では(【獣類】 タヌキ、キツネ、アナグマ、アライグマ、ハクビシン、イノ シシ、ニホンジカ、ヌートリア、ノウサギ、ニホンカモシカ 、ニホンザル 【鳥類】 カワウ、ゴイサギ、カルガモ、キジ、キジバト、ヒヨドリ、 スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、カワ ラバト、ダイサギ)などにより104,676千円の被害額です。なんと被害額は一億円を超えていますよ。
昨年は熊の目撃情報も散見され、人的な被害もでました。これらの獣害の一因には、全国的には里山の荒廃等が取り沙汰されています。

当地域ではそうならないように、我々は医療・福祉・介護の領域は勿論の事、教育・防災等幅広く地域の皆様とかかわりこの豊かな自然を維持する一翼を担っていかねばと思わされた宴会の1シーンでした。

※I医師による撮影動画は当院ホームページ内にもありますFacebookに掲載しております。よかったら覗いてみてくださいね。
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