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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2020/02/20 

Vol.82  「福面」

執筆 院長 小林真哉

今日のコラムのお題ですが、節分の『鬼は外、福は内』の福ではありません。いわゆるマスクのお話です。
冬の季節は感冒を筆頭に様々な呼吸器感染症が流行し、咳エチケットを始めマスクの需要が高まります。
昨今は、インフルエンザ、コロナウイルスとマスクが不足している状況となっていますが、皆さんが正しい認識でマスクを利用されることが重要です。
また、冬が去り、春が来るとあの花粉症の季節となりますので更に需要は高まります。
さて日本におけるマスクの歴史の豆知識です。
この「福面」、わが国における防塵マスクの走りとされているようです。
かつて、島根県大田市にある石見銀山では海外渡来の銀精錬技術である灰吹法により効率的に銀を得ていましたが、酸化鉛の粉塵を吸い込んだ作業員は急性または慢性の鉛中毒を発症していました。
そのため、当時の鉱夫たちの寿命は短く30歳まで生きられた鉱夫は、尾頭付きの鯛と赤飯で長寿の祝いをしたほどであったそうです。
そんな状況下で開発されたのが、絹地に柿渋を塗り梅肉を練りこんだ防塵マスクの「福面」で一定の効果を上げたとされています。
鉄製の枠に薄絹を縫い付け、これに柿の渋を塗って乾かし、面内に梅肉を挿み込み、両端に紐をつけて耳に掛けるものであったようです。
梅の肉が如何ほどの効能効果があったのかは定かではありませんが、少なくとも粉塵を吸着する一定の効果があったのかなと思います。
また、梅の酸味を感じ唾液の分泌が促され、喉の粘膜を潤すことも一功であるとの記載もされていました。

うーん。
とはいえ、日頃、診療に使用しているマスクの内側に練り梅を塗りつけている院長はちょっとね・・・
『院長、話すたびに酸っぱそうって』・・・笑
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