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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2024/10/24 

Vol.525 「その背中 partⅡ」

執筆 院長 小林真哉

昨年夏よりTVでCM放映が開始された〝その背中〟は、JA愛知厚生連のPR動画のタイトルです。
「毎日が積み重なる、その背中にのせて」をテーマに医療現場の弛まぬ毎日の積み重ねと真摯に向き合う職員たちの背中を通して
我々の想いが表現されています。
現在、新たなバージョンが企画検討されていますので近いうちに皆様のお目にかかることと思いますが、それまではもう少し
〝その背中〟にこだわってみたいと思います。

「背中で語る親父」は、もはや昭和ですが、動物の世界ではまだまだリーダーとしての風度(コラムVol.60参)は背中で語る者がいます。
その代表格がゴリラです。ゴリラの群れの中で背中から腰にかけて銀白色になっているゴリラが群れのリーダーで、
筋骨隆々の広い背中が存在感と風格を表しています。
力を誇示することで君臨するサル社会のボスと違い、ゴリラのリーダーはメンバーの信任の上に成り立ち、無駄な争う事を避けて
「背中で語る」そうで、通称「シルバーバック」と呼ばれています。

「背中で語る」、とは背中に、物事の考え方や向き合い方、アイデンティティが見えると理解されているからこそなのです。
うん〝背中〟大切です。背中は、その人の真の素の姿、本来の姿を映し出す鏡なのです。

山本周五郎氏の時代長編小説「さぶ」の中での主人公さぶの言葉に、
『どんなに賢くたってにんげん自分の背中を見ることできないのだから』があります。解釈の中に、「自分のことをわかっているつもりかも
しらんが、まったくわかっとらんよ、そんなに自分のことが気になるのなら、誰かに聞いてみなさい、他人の方が自分のことをよっぽど
よくわかっとるよ」とありました。

本当の自分・素の自分というのは、自分自身で見ることはできず、見ている側にこそ、その人の本質を見ることが出来る、すなわち、
自分のことは自分ではなく、むしろ見ている側の方がその人のことをわかるんだということです。

正に自己客観化の大切さです。

〝その背中〟には、自らを顧みる深い意義も込められているのです。
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